2015年2月28日土曜日

第10回シマ学校「ンークズとスゥズンー」を開講しました


ンー(いも)は島の重要な食材でした。そして、保存食として、先人たちはイモのでんぷんをとってンークズ(いもくず)にしたり、スゥズンー(干しいも)にして備蓄し、非常食にしたり、おかずやおやつ等にも幅広く利用してきました。10回目となる今回のシマ学校では、ンークズとスゥズンー作りに挑戦し、昔なつかしいンークズ料理を作って味わってみようと計画しました。


今回の講師は、与那覇敏さんと川上敏さんのお二人。
いつものように、講師任命証の授与式からはじまります。


早速ンークズづくりに取り組みます。洗って皮をむいた芋を、おろし金ですりおろしていきます。
50年前くらいまでは、大きなたらいの中で、トタンに釘でたくさんの穴をあけたものをおろし金がわりにして芋をすりおろしていたそうです。


今回のシマ学校には、伊良部島から老人クラブ連合会のみなさんが5名参加してくださいました。
伊良部島でも、いもからでんぷんを採ってンークズをつくり、雨の日や畑に行けない日の保存食として食べていたといいます。


すりおろした芋を袋に入れ、水にさらしてよく揉むと、でんぷんが水に溶け出して、しばらくおいておくと底のほうに沈殿してきます。


でんぷんを揉みだした後のしぼりかす(繊維)も、むしろに広げてからからになるまで天日で干して、臼でついて粉状にしてから、炊いた芋と一緒にこねてだんごにしたり、もち粉や小麦粉とこねてもちを作ったりするのだそうです。
捨てるところはありません。


こちらが、水にとかした芋のでんぷんが沈殿したもの。上澄みの水を捨てると、このように底に固まったでんぷんがとれました。
3kgほどの生芋から、できたでんぷんは100g程度。完全に乾かせば長期保存ができるとはいえ、とてもぜいたくな食糧のように感じます。

こちらでは、「スゥズンー」と呼ばれる切干し芋を作っています。生の芋を薄くスライスしたものを、からからになるまで天日で干した保存食で、ンークズよりもよりポピュラーに作られていたようです。


天日で干すと、とても甘くなりおいしかった、とオバアたちは口をそろえて言います。完全に乾燥したスゥズンーは、湿気やネズミや虫から守るために甕の中に入れて保存していたそうです。使うときは水でもどして柔らかくしてから、これまた炊いた芋と一緒について、団子にして食べていたようです。


ンークズが取り出せたところで、ンークズを使った料理に挑戦します。
こちらでは、ニンニクの葉となまりぶしを味噌で炒め、最後に水でといたンークズを入れるという「ンークズ炒め(料理名は不明?)」を作ってくださています。


こちらは、ふかした芋に、ンークズと砂糖を混ぜてよくこねたものを丸めて油であげる、「ンークズてんぷら」を作っています。
ンークズが入ることで、もちもちとした芋もちのようなオヤツができました。


最後に全員で試食をしてみました。芋のでんぷんの甘みと、もちっとした食感が加わって、炒めものもてんぷらもとてもおいしくできました。子どもたちにも大好評だったようです。
ンークズは、このような料理のほかにも、お湯にとかしてくず湯のようにして飲んだり、とろみとして使ったりと、様々な方法で食べられてきました。現在でも、市販の「いもくず粉」を使って料理をする方が多いというので、今も昔も、でんぷんに対する愛は変わらないのだなあということを感じたシマ学校でした。
ンークズとスゥズンー、伊良部島のみなさんにも大好評だったので、何かのかたちにして復活させていきたいと思います。

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