2017年8月22日火曜日

フグギの種をまきました


黄色い柿のような実がつくフクギ。黄色く熟した実をコウモリがかじって、木の下には大量の実が落ちてきています。


すかさず種を拾い集めて、苗づくり用にストックしています。外側の黄色い実は、少し発酵させるとむきやすくなるとのことで、ビニール袋に入れて数日間保管しておきました。


ものすごい発酵臭がしますが、よく洗いながら実をむくと、2cmほどの種が出てきます。


この種を、一粒づつポットにまいていきます。フクギは直根が深く伸びるので、ロングポットにまいてみました。


8月に入ってからはまったく雨が降らず、先週は最高気温が34.9度と、観測史上最高の値を更新していた宮古島地方ですが、今週にはいってからはやっと雨が降り始め、畑作業日和になってきました(まだまだ暑いですが・・・)。発芽を楽しみに待ちたいと思います。

2017年8月17日木曜日

【アダンサミット】おまけ2・展示コーナー編


アダンサミット会場では、後方に展示コーナーを設けていました。
アダナスやアダン葉で作られたさまざまな地域の民具も陳列。

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今回、アダナスでフダミ(海用のぞうり)の編み方を指導していただいた、池間島の前泊勤さんが作られた「アンディ」。これは、海で獲った貝や魚を入れたり、畑で採れたイモを入れて海で洗ったりする際に使う、とても丈夫で便利な袋です。


こちらは、パプアニューギニアの東端、カルヴァドス諸島パナティーナ島のバスケット。着色したアダン葉で編まれています。
この地域にフィールドワークで行かれていたという方が、見本にと持ってきてくださいました。


こちらは、竹富島の松竹昇助さん作のかご。アダン葉ではなく、タコノキの葉を使用しているそうです。トゲがなく、葉の厚みもあってしっかりとしているため、扱いやすいとおっしゃっていました。


こちらは、与那国島の與那覇有羽さんが特別にアダン葉で作ってきてくださった「ターラグ」とよばれる袋。海へ持っていって、魚を入れるのに使うバッグで、普段はクバの葉で作っているとのこと。

こちらも、與那覇有羽さん作のほうき。ほうき部分はマーニ(クロツグ)を使用し、持ち手の柄の部分をアダン葉で巻いてしめています。


こちらも與那覇有羽さん作の「カブチ」。池間島では「カウス」と呼ばれますが、薪や水くみの甕などを頭にのせて運ぶ際、のせたものが動かないように頭と甕などの間にしくものです。クバの葉を芯にして、アダン葉を巻いて締めているとのこと。


1960年代に、民俗学者の野口武徳さんが撮影された、池間島の写真も展示しました。
アダン葉の薪とりの風景や、子どもたちがアダンの実をオヤツにしている様子など、当時の池間島の人々のくらしが鮮やかに切り取られています。


こちらは、池間小中学校の子どもたちの総合的な学習の記録を写真で紹介。
活動中の映像を編集したムービーの上映もしていただきました。


こちらは、池間島のオカアターやオトウターたちへの聞き書きから、アダンのある暮らしについてお聞きした内容を紹介したパネルです。



池間島出身の平良新弘さんが書かれた「海人(インシャ)の島」の中には、アダンにまつわる記憶がここかしこに記されていて、当時の島の風景や暮らしの様子が手に取るように伝わってきます。今回は、アダンの話を抜粋してご紹介させていただきました。


池間島の航空写真。1963年と1995年では、島の形もすこし変わっています。1963年の写真には、島の北西部にある「アダンニー」へ、薪のアダン葉を採りに通っていた道がくっきりと写っています。

池間島マップもあわせて展示しました。

【アダンサミット】おまけ1・ミュージアムショップ・アダン編


アダンサミットの会場には、特設ミュージアムショップ・アダンが登場していました。
(ちなみに、このカードスタンドはアダンのツガキ)


ここでは、出演者のみなさまのご著書や、池間島のカレンダーなども販売しておりました。
ショップの運営は、北九州フィールドワーク研究会のみなさんにご協力いただきました。ありがとうございました。


その中でもひときわ目立っているのが、今回のアダンサミットのために制作した「オリジナルあだんてぬぐい」。
黄色とオレンジ色のアダンの実をあしらい、明るくポップな印象なてぬぐいに仕上がっています。


会場では、出演者やスタッフが着用していたので目にした方も多いと思います。
おっと!買い忘れてしまった!あと何枚か追加でほしい!という方のために、こちらでも販売させていただいております。

すまだてぃだより53号を掲載しました


すまだてぃだより53号ができましたので掲載いたします。

〇琉球弧アダンサミット開催
〇意見発表会
〇夏祭り!クイチャーを奉納
〇離島から民泊来たよ!
〇みんなのおうち開所しました!
〇今月の予定

こちらからPDF版をご覧になれます。

【アダンサミット2日目】アダン手業ワークショップ編


アダンサミット2日目の第2部は「アダンの手業ワークショップ」です。アダンの根の繊維やアダンの葉を使ったものづくりを実際に習ってみようと、竹富島、与那国島、宮古島、池間島から講師のみなさんをお招きしました。


竹富島で民具づくりを行うクージの会の会長、松竹昇助さん(89歳)と、池間島でフダミやアンディが編める数少ない人の一人、前泊勤さん(92歳)。


前泊勤さんには、アダナスと呼ばれるアダンの根を裂いた繊維をつかってつくる「フダミ」とよばれる海用のぞうりの作り方を教えていただきました。


海へ潮干狩りに行く際に作って履いていたという「フダミ」は、潮にも強く、繊維が頑丈なので、鋭いサンゴ礁の上を歩いても大丈夫。
まずは、細く裂いて乾かしたアダナスの繊維をよって、縄をつくります。


作りたいぞうりの大きさより少し大きめの輪っかを2つ作って、足のゆびにかけて引っ張ります。


作った縄を芯にして、そこへ裂いたアダナスの繊維を指1本分くらいとって、ねじりながら編みこんでいきます。


アダナスを継ぎ足すときに、裏側に繊維の先が7~8cmくらい飛び出すようにして編みこむことで、ぞうりの底に厚みをもたせることができます。


30~40分ほどで、片足が編みあがりました。


こちららは、竹富島のみなさんにアダン葉でつくる馬やハブグヮー、星などの玩具を教えていただいているコーナーです。


松竹昇助さんは、NPOたきどぅん主催の「竹富島民具づくり教室」の講師を務めるほか、広く多くの人たちに島の植物を材料にした伝統的な民具づくりを伝えていらっしゃいます。
アダンバの下処理の仕方も丁寧に教えていただきました。


「サンピキ」とよばれる自作の道具を使って、トゲをとったアダン葉を均一の幅に裂いていきます。


裂いたアダン葉は、乾かしながら、途中で何回かしごいてのばします。その時に使うのが、竹筒に切り込みをいれたようなこの道具。これも松竹さんたちが作って使っているものを持ってきて見せていただきました。


竹富島クージの会のメンバーのみなさんも、講師として参加してくださり、アダン葉玩具づくりを丁寧に教えていただきました。


ハブグヮーができてきています。


かわいらしい星や


馬もできました。


松竹さん、宮古島で、同じアダン葉の細工をしているグループ「チームあだん」のみなさんとも情報交換していました。

与那国島の與那覇有羽さんも合流。
アダン葉の下処理の仕方ひとつとっても、それぞれにやりやすい技や工夫があり、トゲをとって裂いたアダン葉をゆでるのか、ゆでずにそのまま乾かすのか、しごくにはどんな道具がよいか、などなどお互いの技術を惜しげもなく伝えあっておられました。


さて、こちらは宮古島でアダン葉細工を行う若い女性たちのグループ「チームあだん」のみなさんによるワークショップのコーナーです。
いろいろな方がご縁をつないでくださり、「手業ワークショップの講師としてご協力いただけませんか?」とお願いしたところ快く引き受けてくださいました。


チームあだんのみなさんは、普段からいろいろなお店などでアダン葉を使った小物づくりのワークショップをされていて、参加者の方々に教えるのもとても慣れていらっしゃいました。
こちらでは、アダン葉で編むコースターを作っています。


コースターづくりのワークショップは、参加者のみなさんにも大人気。材料があるとついつい編みたくなってしまうのか、開始時間前からもたくさんの人が集まって編みはじめ、終始にぎわっていました。


ヘアゴムやバングル、しおりなどのおしゃれな小物づくりも丁寧に教えてくださっています。


中級コースでは、アダン葉を立体的に編み上げるボトルホルダーを作っています。


きれいに下処理されたアダン葉は、色もとってもきれいです。参加者のみなさんは、集中してもくもくと編んでいました。編みあがりも美しい・・・!


チームあだんのみなさんのワークショップは大変人気で、たくさん用意してきてくださったアダン葉も使い切るほどの盛況ぶりだったそうです。


こちらは、沖縄で「手遊び草編み玩具」という本を出されている新崎宏さんによる即席ワークショップ。

アダン葉やイグサなどの材料も持参してくださり、ヘビやサイコロなど楽しい玩具づくりを紹介してくださいました。にぎやかなワークショップで、オバアたちに人気でした。


そしてこちらは、与那国島の與那覇有羽さんによるアダン葉むしろづくりのコーナーです。こちらも大人気で、たくさんの参加者が集まっていました。


この日のためにと、生き生き教室のオカアターとトゲをとって乾かしておいたアダン葉を使います。しごいたりはせず自然に丸まってきたアダン葉を、使う前に水に浸して少し柔らかくしておきました。


與那覇有羽さんは、与那国島で主にクバを使った民具づくりを行っており、昨年オープンした与那国交流館では郷土芸能や民具づくりの講師を務めています。そしてなんと、31歳という若さ!


有羽さんの気さくな人柄と、丁寧な指導で参加者のみなさんも楽しんでむしろづくりに取り組んでいました。


以前作った編み台を使って、麻ひもを縦糸に適当な長さに切りそろえたアダン葉を編みこんでいきます。


仕上げには、有羽さんがアダン葉で馬や魚を作って飾り付けしてくださり、とてもかわいいミニむしろができていました。


「このむしろ編みの要領で、編んだものの両端を閉じたら、バッグなんかもできるよ」とアダン葉で作った作品も持ってきてくださいました。
普段は、与那国島に生えているクバを使うことが多いそうですが、今回は特別にアダン葉でほうきや「ターラグ」とよばれる海で獲った魚を入れる袋、笠なども見せていただきました。


3時間にわたるアダン手業ワークショップでしたが、夢中になって手を動かしていると時間が経つのもあっという間。
アダン葉やアダナスでいくつもの作品をつくり上げ、参加した方々同士もおしゃべりしながら交流を深めることができた楽しい時間でした。


ワークショップを終えて、来年は八重山での第2回アダンサミットを開催したいと宣言された竹川大介先生。南太平洋の島々でアダン葉のバッグを編んでいる女性たちも招待して行いたいと考えておられるそうです。「環太平洋アダンサミット」、いまから楽しみで仕方ありません。

今回のアダンサミットには、2日間あわせて200名近い方々にご参加いただきました。宮古島、沖縄本島、八重山地域(石垣、竹富、与那国)、福岡、大阪、京都、東京、岐阜など、日本全国から、さらに遠くはフランスから、アダンサミットのために来島してくださった方もいらっしゃいました。
ご参加くださったみなさま、会場設営やワークショップの材料準備、当日の運営などをお手伝いいただいたみなさま、そして企画から助言をいただき講師としてお集まりいただいたみなさま、どうもありがとうございました。今回のサミットで、第2回の開催につながる数多くのきっかけが作れたことが大きな収穫でした。また、来年のアダンサミットin八重山でお会いできることを楽しみにしております。