参加者は、来年3月に池間小中学校を卒業する予定の9名です。自分で紙を漉いて「卒業証書」を作ります。材料は池間島に生えているブー(苧麻)です。
ブーは宮古上布の材料です。
写真の貝、アービ(ミミガイ)で、ブーの繊維を取り出します。
池間のおばぁたち曰く「昔はヤビジでアービはいっぱい獲れたよー。今はぜんぜん見えなくなったね」とのこと。今回の作業のためにと、勝連アキ子さんが、自分の家に取っておいたアービを持って来てくれました。
ブーの卒業証書作り、紙漉きの講師は、仲間伸恵さんです。伸恵さんは、琉球大学教育学部で織染専門の講師をしています。池間島のご出身です。
今年の8月におこなわれたブーの刈り捨てからご指導いただいています。
今回の1日目は、生えてきたブーの刈り取り、外側の繊維を取る、取り出した繊維からアービを使ってさらに細かい繊維を取り出す、取り出した繊維をソーダで煮て溶かす、の4工程です。
まずは、外側の繊維をはぎとります。
生き生き教室参加のおばぁたちも、加勢に来てくれました。
「むかしのおばぁっちがやっていたのを思い出す」というおばぁもいました。
茎からはぎとった繊維をしばし水に浸してやわらかくします。それからアービのフチでしごいて堅い皮を取り除き、細かい繊維を取り出します。この作業を「ブービキ」と呼びます。
ブービキが終わったら、取り出した紐状の繊維を1~2センチメートルの幅に切り、ソーダを加えた水を入れた鍋で2時間ほど煮ます。
すると、繊維以外の部分が溶けて、繊維だけが残ります。
これが2時間煮たものです。
白い繊維が残っています。
翌日2日目、昨日煮た繊維を水洗いするところから始まりました。ソーダによってアルカリ性になっている繊維を水でよく洗って中性に戻します。
その後、取り出した繊維のひとかたまりを板に置き、繊維が細かくほぐれるように、木槌でよく叩きます。ほぐれたかどうかは、水を入れた透明のコップに箸でひとつかみ入れてかき混ぜ「フワッ」と広がるかどうかみます。
子どもたちが紙漉き準備を進めるなか、おばぁたちは昨日のブービキの続きをやっていました。おしゃべりしながらの手仕事は楽しそうです。ときどき歌も歌いながらの作業です。
すべての準備が整い、紙を漉く作業が始まりました。
水、ブーの繊維、ネリ(水にトロミをつける)を入れよくかき混ぜます。繊維を均一に広げることが大事とのこと。
3人1組で3グループに分かれて紙漉きをしました。みんなうまくできるかドキドキ。「失敗しても、何回でもやり直せますよ」という伸恵さんの言葉にみんなちょっと安堵していました。
初めての紙漉きですが、なかなか筋がいいようす!
繊維のモチモチの気持ちよさを味わっています。
無事9名、自分の卒業証書の紙を漉くことができました。
自分の漉いたものにちゃんと名前を貼っています。
紙は板に貼ったまま乾燥させます。来月板から剥がす予定です。
どんな紙に仕上がるか楽しみですね。
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